ORTHOPEDICS 整形外科

一般整形

整形外科は、脊椎(頚、背中、腰などの背骨)、四肢や体幹の骨、筋肉、関節、神経など非常に広い範囲をカバーしています。更には関節リウマチ、痛風、骨粗鬆症など全身性疾患の治療も行います。

外来でよく出会う疾患、外傷に関して以下に記載します。

外傷

骨折

打撲、捻挫など外傷には骨折が隠れている可能性があります。腫れが強い場合や、痛みが長引くようなら詳しく検査をすることをお勧めします。

痛みが強い場所は、骨折の有無を確認するためX線撮影(レントゲン)を行います。しかし、疲労骨折や骨挫傷はX線撮影では分からない場合があります。そんな時に威力を発揮するのがMRIです。骨折部には信号変化が現れますので、骨折の診断に役立ちます。

画像:MRI
画像:左膝の痛みの患者様 レントゲン
左膝の痛みの患者様です。レントゲン上ははっきりした骨折が見つからず、MRIで検査を行いました。
画像:左膝の痛みの患者様 MRI
MRIでは、図の赤丸の場所のように骨折を認め、骨挫傷と診断しました。
画像:左膝の痛みの患者様 1カ月後のレントゲン
1カ月後のレントゲンです。骨折線に沿って骨硬化(白くなっている部分)を認め、
順調に骨が固まってきていることが分かりました。

捻挫

関節を構成する骨が、不要な方向に動かないように靭帯が制動しています。その靭帯が伸びたり切れたりすると捻挫が起こります。関節が外れると脱臼になります。

捻挫を放っておくと、関節が緩くなり痛みが残ることがあります。

症状について

頸部痛

肩凝りには、頸椎や肩関節などの障害、内科的な病気(狭心症、胆嚢炎、膵炎、脳梗塞、脳出血など)、眼精疲労、副鼻腔炎、メニエール病、顎関節症など元になる病気があるもの(症候性肩凝り)と、原因のはっきりしない肩凝り(原発性肩凝り)があります。症状としては首の後ろから肩や背中に凝り感、重圧感、鈍痛を感じます。

原発性肩凝りは、症状の部位から僧帽筋、肩甲挙筋などの肩関節周囲の筋肉の障害と考えられています。

腰痛

原因は様々です。骨折、腰の筋肉・筋膜や関節の障害、椎間板ヘルニアや神経の圧迫等々。

原因を特定するのが困難な場合が多いのですが、見逃してはいけないのが腰椎の感染症、椎体骨折、拍動性腹部腫瘤、馬尾症候群、腹部大動脈瘤、強直性脊椎炎、悪性腫瘍などです。その中で高齢者の腰痛で多いのは椎体骨折です。体を支える胸椎、腰椎の柱の部分、椎体がつぶれてしまう骨折です。こけたり、重いものを持ったりして腰痛が出た場合は、この骨折を疑います。しかし、特に外傷がなくても起こることもあり、高齢者の長引く腰痛は要注意です。

X線撮影(レントゲン)をして椎体がつぶれていれば見つけられますが、レントゲンでは新しい骨折か古い骨折か分からないことがあります。しかし、MRIでなら骨折があるか一目瞭然です。痛みが続く腰痛の場合はMRIを行うようにしています。

画像:腰椎のレントゲン
腰椎のレントゲンです。2番目の腰椎がつぶれているので、第2腰椎椎体骨折のように見えますが…
画像:腰椎のMRI
MRIでは1番目の椎体に信号変化(左の画像では他の椎体より白く、右の画像では黒く写っています)が出ており、
第1腰椎椎体骨折との診断になりました。第2腰椎は古い骨折で既に治っています。

腕・手の痛みやしびれ、違和感

頸椎ヘルニア、頸椎症性神経根症など

頸椎での神経の圧迫の可能性があります。

肩から上腕の外側、前腕の外側から親指・人差し指にかけてなど、神経の分布に沿った痛みやしびれ、異常感覚などが出現します。

悪化すると運動麻痺(筋力の低下や運動不能)などの症状が出現します。

生活や仕事に支障が出たり、運動麻痺やふらつきが出現した場合は要注意です。

手根管症候群

小指以外の指や手の平のしびれ、痛みが出現します。手の平の根本にある手根管で正中神経が圧迫されることにより起こりますので、前腕や小指、手の小指側、手の甲には症状が出ません。

症状が悪化すると、母指球が萎縮し、物をつまみにくくなるので、注意が必要です。

肘部管症候群

手の小指側にしびれが出現します。肘を曲げるとしびれが出現します。放置すると手の筋肉が萎縮します。

肩の痛み

肩甲骨と上腕骨骨頭を繋ぐ筋肉の腱が腱板です。腱板の断裂や損傷により、痛みや力が入らないといった症状が出ます。

また、腱板に石灰が溜まる石灰性腱炎もよく見かける疾患です。

これら原因がはっきりしている疾患を除いた、肩の痛み、動きの悪さを症状とする疾患を総称して五十肩(肩関節周囲炎)と呼んでいます。

肩は複数の関節で構成されており、人体の中で最も可動域の広い関節で、その分、動きが悪くなりやすい関節です。痛くてかばっていると動かせる範囲が狭くなります。

肘の痛み

変形性関節症や関節リウマチなども考えられますが、上腕骨外側上顆炎が多くみられます。

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)

タオルを絞る、順手(手のひらを下で)で物を持ち上げる、手首を反らすなどで肘の側に痛みが出る場合、この疾患を疑います。

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)

肘の内側に痛みが出る場合はこちらを疑います。

手の痛み

指の第1関節の痛み、変形の場合はへバーデン結節、第2関節の場合はブシャール結節を疑います。これらは関節の軟骨が摩耗し骨も変形する変形性関節症で、治療は安静や消炎鎮痛軟膏、消炎鎮痛剤の内服などですが、第2関節の腫れや押さえて痛い場合は関節リウマチの可能性もあります。関節リウマチの場合は、採血やレントゲンの検査、長期の内服治療が必要になります。

何かをつまんだ際に親指の付け根に痛みが出る場合は、母指CM関節症を疑います。中手骨と大菱形骨の間の軟骨が摩耗して関節が変形します。

指の根本の痛みがあり、曲げた指が引っ掛かって戻らず、力を入れて伸ばすとバチンと伸びる弾発現象がある場合は、ばね指の診断になります。弾発現象がない腱鞘炎の場合もあります。親指の付け根から手首の親指側が痛い場合は、ド・ケルバン病の疑いがあります。

股関節痛

変形性股関節症

初期には長時間歩いた後や動き始めに鼠径部(脚のつけね)が痛くなります。太ももやおしりにも痛みが出る場合もあります。やがて痛みが続くようになり、股関節の動きが悪くなってきます。股関節の軟骨が徐々に摩耗し、やがて関節、骨の変形が起こります。

幼少時の病気やケガなどが原因のことが多いのですが、アルコール摂取やステロイドの投与を受けておられる方は、大腿骨頭が壊死し関節の変形へ進んでいきます。

膝の痛み

変形性膝関節症

膝関節の軟骨がすり減る疾患です。初期には関節のこわばりや座っていて急に立ち上がった際の痛み、歩き始めの痛み、運動後の痛みがあります。悪化すると関節に水が溜まったり、階段昇降や歩行時の痛み、膝が曲がらない、伸びないといった症状が出現します。

X線撮影(レントゲン)で関節の隙間が狭くなっていたり、骨の縁に棘が出来ていたりする特徴が見られます。

鵞足炎

膝の関節よりやや下の内側に痛みが出ます。注意深く触るとコリコリした筋に触れ、そこを押さえて痛い場合はこの病気の可能性があります。

膝内障

膝の関節を構成する半月板や靭帯が損傷し、痛みや引っ掛かり感、抜けたような感じなどの症状が生じます。スポーツや外傷で起きることが多く、放置すると関節が不安定になり、仕事やスポーツに支障が出ます。変形性関節症へ発展していく場合もあります。

診断にはMRIが役立ちます。

足趾、足の痛み

足の親指の付け根が真っ赤に腫れて、触るだけで痛い場合は痛風発作が疑われます。

足の親指が外側に曲がってきて付け根の内側に痛みが出てきたり、第2趾、第3趾の付け根の足の裏にタコが出来ているようだと外反母趾の可能性が高くなります。

歩行や運動の初めに踵の内側が痛い場合は、足底腱膜炎、踵の後ろの方が痛い場合はアキレス腱炎を疑います。

治療

治療について

当院では、それぞれの症状に適した投薬、注射、装具などで治療を行い、必要であれば物理療法、運動療法といったリハビリテーションをご案内致します。

手術が必要と判断した場合には、近隣の基幹病院と連絡をとり、ご紹介させて頂きます。術後の消毒や抜糸、投薬やリハビリテーションなども基幹病院と連携し、出来る限り協力させて頂いております。

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