PRP PRP療法

概要・治療手順

PRP:Platelet-Rich Plasma(多血小板血漿 たけっしょうばんけっしょう)

血小板を多く含んだ血漿:血小板には組織を再生させるための様々なサイトカインが含まれており、その多くは傷を治したり、炎症を抑えたり、組織の成長を促したりします。

画像:PRP療法の概要・手順

関節や靭帯などの治療に有効:炎症や痛みを抑え、治癒能力や組織修復能力を最大限に引き出し、 傷んだ関節・靭帯などの治癒を促すと考えられています。

上図のように患者様から採取した血液からPRPを作り、関節や靭帯などに注射します。
PRP作成に要する時間は30分ほどです。
しつこい関節の痛みや腫れ、靭帯や腱の痛みなどに効果があり、近年注目されている治療法です。

サイトカインとは・・・

サイトカインは小さいタンパク質で、細胞同士の情報伝達作用を持ち、特異的な受容体に結合することで細胞に命令を伝えます。細胞の作用を弱めたり強くしたり、細胞を呼び集めたり、更にサイトカインを放出させたりして、次々に細胞に作用起こさせ、人体にいろいろな効果を及ぼします。様々なサイトカインが、約800種類報告されています。

画像:サイトカイン

細胞から細胞に命令を伝えるタンパク質で、細胞に様々な作用を促します。

変形性膝関節症の発症

  1. 関節内でのサイトカイン放出による炎症
  2. 関節の変形に伴う機械的刺激の増加
  3. 炎症に伴う神経伸展・血管新生
  4. 関節周囲組織への炎症の波及
画像:変形性膝関節症の発症1
画像:変形性膝関節症の発症2

PRPの作用

傷んだ関節軟骨や靭帯など組織の炎症や痛みを抑え、関節軟骨の破壊を緩徐にし、関節内の環境をより正常に整えると考えられています。治癒能力や組織修復能力・再生能力を最大限に引き出し、 傷んだ関節軟骨・靭帯などの治癒を促すと考えられています。

画像:PRPの作用

当院での適応疾患

変形性関節症[第2種]

  • 膝関節
  • 肩関節
  • 肘関節
  • 足関節

筋、靭帯、腱及び腱付着部等の機能障害・疾患[第3種]

  • 筋腱炎(上腕骨外側上顆炎、膝蓋腱炎、アキレス腱炎など)
  • 靭帯炎(腸脛靭帯炎、膝外側靭帯炎など)
  • 靭帯・腱および腱付着部の炎症
  • 筋挫傷

PRPの長所と短所

長所

  • 患者様ご自身の血液から作られるため、副作用のリスクはほとんどありません。
  • ヒアルロン酸の関節注射や痛み止めの内服やリハビリテーション、装具療法などの保存治療で効果が感じられないが手術は選択できない患者様の第3の選択肢として効果が期待できます。
  • 痛みや腫れなどの症状を軽減させ、関節の損傷を修復し、関節の機能改善が期待できます。

短所

  • 高額:自由診療で保険は利きません。
    費用は当院の場合、35,000円(税込)。
  • 効果には個人差があります。
画像:PRPの長所と短所1
画像:PRPの長所と短所2

除外基準

以下の方はPRP療法の適応とならない場合があります。

  • 14歳未満
  • 癌など悪性腫瘍の治療中:抗がん剤、生物学的製剤または免疫抑制剤を使用している
  • 活動性の感染を有する
  • 1ヵ月以内に本治療を受けたことがある
  • 重篤な合併症(心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、出血傾 向、コントロール不良な糖尿病および高血圧症など)を有する
  • 血液を凝固しにくくする作用を持つ薬物を服用している
  • 薬剤過敏症の既往歴を有する
  • その他、治療を受ける者の健康状態、身体的条件を勘案し、 本治療を実施する医師が治療の提供の可否を判断する

最後に

しつこい関節の痛み・腫れ腱・靭帯の痛みがあり、薬やリハビリテーションで効果をあまり感じられないが、手術は躊躇されている方、手術するほど変形が進んでいない方、諸事情により手術が出来ない方、一度ご相談ください。

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